結成後1年半たった61年6月25日、ニューヨークの名門ジャズクラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」に出演し、歴史的ライヴ録音を行った。
スタジオ録音にはないスリリングな名演となったが、この10日後スコット・ラファロが他界。
本トリオの正式なライヴ録音は、ラファロ追悼盤の『サンディ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』と本盤のみ。
それでも本盤が、すべてのジャズアルバムのなかで、ソニー・ロリンズの『サキソフォン・コロッサス』と並んで最高の人気盤であるのは、内容がすばらしいからである。
オープニングのバラード<1>は果てしなく美しい。
タイトル曲<2>は、エヴァンスの兄娘デビイのために書かれたワルツだ。
生涯を通じて何度も演奏される曲だが、ここでの演奏が最高。
語り尽くされた感すらあるジャズの名盤中の名盤。
ジャズ初心者からベテランリスナーまで、多くの人の心を惹きつけて止まないピアノトリオの傑作だ。
ロマンティックで詩的といわれるエバンスらしい選曲、分り易くも奥の深い演奏、40年以上前のものとは思えない録音の音質、印象的で洒落たジャケットデザイン、名門「ビレッジ・バンガード」のざわついた雰囲気、ベーシスト・ラファロの録音の数日後事故死という物語性…
世の中にいい演奏、いいCDは沢山あるが、本当に名盤となる要素を兼ね備えたものはそう多くはない。
この"Walts for Debb"はその要素を全て兼ね備えた、エバンスの作品の中でも傑出した一枚といっていい。
このCDを聞く度にこうした音楽に出会えたことを誰かに感謝したい気持ちになる。
"My Foolish Heart"のゆったりと抑制された、しかし決して退屈でない演奏。
印象的な出だしから聞く人を引き込む"Waltz for Debby"。
サビのリフレインが印象的な"Detour Ahead"。
その後エバンスの十八番として幾度となく演奏されることとなる"My Romance"…
「ジャズファン」を自認する人は、ともすればこうした余りにも有名な盤をけなす傾向にあるが、素直に良いものは良いと言うべきである。
何かジャズを聞こうかと考えている方はもちろんのこと、ジャズに興味はないが、「良い音楽」をお探しの方にも聞いて頂きたい。
●Waltz for Debby
●【輸入盤】 WALTZ FOR DEBBY
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ラベル:ビル・エバンス