「8日目のセミ」という本もかなりいい出来になっている。
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●八日目の蝉/角田光代
●八日目の蝉/角田光代 (楽天)
せつない話になっているけれど、読後感は爽やかでいい。
セミは盛夏のシンボルだ。
都心のビル群にもセミはしっかり鳴いているが、田舎の林に入ると、猛烈な「蝉しぐれ」に出会える。
セミの鳴き声を聞くと、もう夏も盛りだな、と本能的に思う。
セミは7年間ぐらい土の中で過ごして、地上に出て1週間ぐらいで死んでしまうのが、可哀そう、という言葉もあるが、これはハッキリと言って「人間視線」だ。
セミにとっては、土の中のほうが快適で幸せなのかもしれないよ。
「苦節15年を経て、演歌舞台に登場しました」というのも一緒だ。
「苦節15年」のほうが、実は、本人にとっては幸せだったのかもしれない。
一流の舞台に出てきてしまったがために、自分が望まない仕事もしないといけなくなる。
という説と、やっぱりセミは地上に出てからの1週間を「幸せ」と感じるかは、あなたの価値観に左右される。
何事も自分の視線で考えないほうがいいよね。
セミにはセミの幸福感がある、っていうものさ。



